富士山

実家に帰省して、ブックカバーを作成。
文庫を読むのに本の大きさに合わせたものを作ったら大きすぎた。持っている文庫で一番分厚いのは「吾輩は猫である」。これがピッタリ入る大きさ。

ちょっと薄めの文庫が入るようにしたら、今度は薄すぎて入れたい本が入らない。唯一入ったのが一番薄い「竹取物語」。貴重なヌメ革で作ったものなのでもったいない。

気を取り直して、再度作成。今度は丁度いい大きさになった。

帰りの飛行機で富士山がきれいに見えた。何回か飛行機を乗っているのだがこんなにきれいな富士山は初めて。風が強く少し飛行機は揺れた。

静岡側から

伊豆半島側から

薄すぎたヌメ革のブックカバーは最近読んだ、
平井和正 Wolfcrest Edward Lipsett訳 講談社英語文庫
のカバーへ。実はこの本は紙のカバーがない。昔、本が溜まりすぎて嵩張るので、紙のカバーは不要と思い、捨ててしまったのだ。今から思うとカバーの絵が貴重だったようでもったいないことをしてしまった。裸のままの本ではかわいそうなので入れてみるとピッタリ。竹取物語からこの本の専用カバーに収まりそう。ヌメ革はちょっと高価だが経年した時の風合いがいいので、端切れを買ってきてまた作りたい。
Wolfcrestは上下二巻ななので、上巻は以前これ用に作成したカバーがあるので、これで揃った。

もう数十年前になるが、SF小説を好んで読んでいた。中でも平井和正の作品は、ウルフガイシリーズ以外も幻魔大戦、ゾンビーハンターなど角川文庫で出ていたのを小遣いで買い集めた。受験勉強のためこの講談社英語文庫の翻訳本も買ったのだけど、当時の英語力では殆ど読めず積ん読状態が続いていた。
最近になって原作と比べながら読んでみた。知らない単語が沢山出てきたが、辞書を引きながら一ヶ月くらい掛かって何とか読了。高校時代にもっとしっかり読んでおけばと反省しつつ、今読んでもなかなかの名作であることを再認識。 意外と当時の記憶も残っていて断片的に言い回しも覚えているところもあり懐かしさも込み上げてくる。人類ダメ主義が一つのテーマであった気がするが、人間愛に溢れる箇所もあり、暴力と愛情との二面性に揺れ動く様は、今でも普遍的に心を打つ。

気に入った箇所を引用させてもらうと、

He looked slowly around the narrow room.It was shabby,holding a small dresser,a modest three-mirrored vanity,a tiny writing desk and bookshelf,a vase with red and white poppies,still half-buds.No television;just an old-style portable radio.No doubt its music had a healthy bit of static mixed in.A portable Olivetti typewriter in a carrying case.A correspondence file holding a sheaf of old letters.She had so few possessions....almost none.What there were,though,she obviously treasured.

Part2のクライマックスへ向けての静かな描写であるが、単純に物を羅列することによって人物の内面を想像させる文章となっている。

本棚を見ればその人の人間性が分かると言われるが、振り返って自分の部屋は積み上がった本で雑然としている。清貧とまではいかないものの、不要な物は処分し、本当に大切なものだけを大事にとっておきたいものだ。